ニュース2011

セミナーレポート「第2回NextWebセミナークラウドを活用するためのWebマーケティング戦略とプラットフォームとは?」。

更新日:2011年02月09日


インターネットを通して企業とユーザーの接点は従来よりもより密接に、ダイレクトに変化してきました。自社のサイトだけでなく、ネットワーキングサービス(SNS)、スマートフォン対応など、最も適したWebの環境を整えるうえで、クラウドへの期待が高まっています。しかし、一言に「クラウド」といっても、その形態はさまざま。そして、それをどのように活用すればよいのか?「次世代サイトを考えるNextWebセミナー」第2回は、クラウドの今についてセッションが展開されました。

ロフトワーク代表取締役社長 諏訪光洋氏 講演タイトル

第1部に登壇したのは、ロフトワーク代表取締役の諏訪光洋氏です。ロフトワークでは年間200から300件のプロジェクトを遂行し、毎月150人のクリエイターと協働していくうえで、15のクラウドサービスを使っています。プロジェクトマネジメントを行ううえで、「いかに情報を同期させる」かが、プロジェクトを進行させるうえの鍵だからです。プロジェクトメンバーが増えるとコミュニケーションは複雑になりますが、その中心にSaaSを置くと、シンプルにわかりやすくなると説明。

プロジェクトメンバーが増えるとコミュニケーションは複雑に

諏訪氏 講演資料

また、アメリカではJiveなど、コミュニケーションの工程をオープンに行うサービスも始まっています。このサービスでは、企業のなかでクローズになっていた「いま誰が何をやっていて、どんな人とコミュニケーションをとっているのか」というものが比較的オープンになっているのです。

しかし、企業が外部のサービスやサーバを利用することはセキュリティ上大丈夫なのかという不安は、多くの人が考える部分です。それについて諏訪氏は、「情報セキュリティインシデントに関する調査報告書2009(日本ネットワークセキュリティ協会)によると、多くの情報漏えいは紙媒体とUSBから80%超もれているというデータがありました。むしろ、『データをローカルで持たない』ことが重要になってきているのです」と語りました。そのうえで、クラウドを関係ないんじゃないかな、と言っていられない時代がくると指摘。CMS未導入ではその戦いのスタートラインにも立てなくなってしまいます。システム分野にいる方はリスクを考えなければならないですが、この時代、バイナリに考えないほうが面白いことができるのではないでしょうかと語りました。

 

マイクロソフト エバンジェリスト 砂金信一郎氏 講演タイトル

続いて登壇したのは、マイクロソフトでクラウドコンピューティングを中心とした啓蒙活動をおこなうエヴァンジェリストの砂金信一郎氏。

砂金氏 講演資料

まず、企業が新商品を出す際に立ち上げる時限サイトなどでは、レンタルサーバや機器を買うのはナンセンスな時代だと一刀両断。従来型ならば半年間などのサーバ契約を行わなくてはならないところ、クラウドならば契約すればすぐに立ちあげられ、キャンペーン終了すぐにサイトを閉じ、その使った期間分のみ支払いすればよいと説明。その最大の魅力は「すぐにやめられる」ことだといいます。

最低契約期間は、1時間。システム部にセキュリティ・・・と発注することもなく、リモートデスクトップで利用できると説明。また、季節のグリーティングコンテンツのサイトでは、1日6000万PVを記録する時期もあるが、そのためにサーバを300台買っていたら大変だが、Windows® Azure™を300台必要な時期だけ買うのが簡単、そして安いと語りました。

「現在、PaaS(Platform as a Service)に関しては、Google App Engine®かForce.com®、Windows® Azure™がほぼ同じ。管理を楽にしたい、情報システム部からうるさいことを言われないでサービスを立ち上げたいという方は、選んでいただくと素敵なことになるかもしれない」とアピール。

そして、具体的な事例を取り上げ、クラウドを利用することでのコスト削減について示しました。

 

【事例】:フランスのソーシャルネットワーク上で遊べるオンラインゲームのサイト

自社でラックを買い、サーバを置いて配信していたが人気が出たためAmazon®EC2を利用したが、逆にサーバ管理にかかる見えないコストがかさんでしまった。それを解決するためにWindows® Azure™を採用。パッチあてなど、サービスを止めずに管理する部分はマイクロソフトが行うことで、社員数10人程度の会社で、社員を企画や制作のために配することができるように。

導入効果と成果

拡張に際して物理サーバーの増設や設定を懸念する必要がなくなった
ITメンテナンスの簡易化を実現
資本支出の削減(3年間で従来システムより65.1%に)

まとめとして、クラウドを活用するメリットはいくつかあるが、費用面のことよりも、スケーラビリティやグローバル展開が可能な点について言及。いままでできなかったことをやるための手段として、Windows® Azure™に限らず、利用してみてほしいと熱く語りかけました。

Windows® Azure™


日立情報 中田 講演タイトル

企業がいまクラウドを導入するとき、どのようなシステムになっていくのでしょうか?最後に登壇した日立情報システムズの中田は、現場で導入した例を挙げ、部門別の導入メリットについて語りました。

「クラウドにはプライベートクラウドやパブリッククラウドなど色々ありますが、まず皆さんにお知らせしたいのが、クラウドは単一の製品やサービスだけではなく、企業システム全体を表すものだということです。SaaSもIaaSもありますが、情報システム自体にパラダイムシフトがきているのです。」

中田 講演模様

では、どんなメリットが生まれるのでしょうか?中田は、会社のパソコン環境を離れても、自宅やモバイルなどでマルチアクセスできるようになったことにより、Webとクラウドが融合してITが変わってきている。また、企業のBtoB、BtoC、いずれのインターフェースもエンドユーザーは同じで、共通のプライベートクラウドを利用でき、クラウドインターフェースによりガバナンスの強化や統合・標準化の推進、TCO削減を可能とすると指摘。プライベートクラウドは、エンドユーザーの利便性向上と、情報システムの効率化を実現する新しい企業情報システムを構築するものだと考えています。

もちろん、企業としては安心・安全・効率よく使えるものであることがマスト条件です。そのためには、「デスクトップ環境」「ネットワーク環境・セキュリティ基盤」「アプリケーション環境」「仮装プラットフォーム基盤」の各環境と基盤を分けて、分離することが重要で、この4つをちゃんと整理しておけば、どんなデバイスが来ても対応できるといます。

 

導入することによるメリットの一例

エンドユーザーが経営者の場合
国内外出張でも社内MyDesktopにつないで、グループウェアや決済業務が可能に

エンドユーザーがマーケティング担当者の場合
持ち出しが難しいマーケティングデータを、セキュアな環境でリアルタイムに収集、プロモーションの実施

エンドユーザーが情報システム/経営者の場合
運用管理の集中、リソース統合・圧縮ができ、TOC削減が可能に
OSを停止させることなく、クライアントのセッションを維持し、物理サーバ間の移動が可能
障害発生時、別仮想環境にて仮想サーバを自動的に起動
稼働中の仮想マシンのOSバックアップを取得できる
テンプレート機能により、サーバ環境の即時展開が可能
電源管理機能により、稼働率の低い夜間、休日帯には縮退運転が可能

日立では自社のものだけでなく、外部も含めたさまざまなサービスを組み合わせることで顧客に合ったものを提供するインテグレーターになっていきたいと語りました。


トークセッション「次世代Webとクラウド」

トークセッション

セミナーの終わりには、今回登壇したマイクロソフト砂金氏、ロフトワーク諏訪氏、日立情報システムズ中田による対談も行われました。

諏訪氏が「Windows® Azure™を見たのが初めてだったのですが、あんなGUIがあるのをはじめてみました」と投げかけたところ、砂金氏は「Windows® Azure™はできてまだ1年で、まだ皆さんの周りで使っているという声は聞かないかもしれませんが、すごい勢いで(利用者が)増えています。Amazon®の私と同じような仕事をしている方と話をしたのですが、利用者もサービスも増えていくなかで、『なかのひと』が追いつけない。コミュニティの皆さんや社外のパートナーの皆さんなどにご協力をお願いしないと回らないぐらい、どんどんサービスが増えています。これはクラウドなのか、手元にあるサーバなのか分からないぐらいのものが今後出てくるのではないかなぁと思っています」

また、クラウドのサーバ数を一定時期のみ増加した場合、その期間だけライセンスを上乗せして買うことができるのか?などの判断が発生すると指摘。中田も「まだ手探りの状態だと思う。それをお手伝いするのが我々の仕事」と同意しました。